ついに参議院選挙まであと1か月を切りました。東京選挙区では6人が当選するということもあり、各党が6枠もあればワンチャンあるかもと、候補者を擁立しています。参議院選挙の何が面白いかと言えば、各マスコミが、現在の情勢の順位を数日おきに発表している点です。具体的な数字は出しませんが、新聞なんかで、優勢な順に候補者名を記すケースが多いのです。そのデッドヒートっぷりは圧巻だと言えます。

さらに、今回の東京選挙区は、退潮気味の立憲、弱小だったのに昨年躍進した維新、れいわの党首、小池都知事の愛弟子、30代以上なら誰もが知る超大物有名人とカオス状態であり、俄然面白くなっております。

なお、今回、何位と記載しているのは、JX通信社が5月21日・22日に調査した際の数字です。
参議院選東京選挙区220529

【自由民主党】(1位優勢、5位接戦)
現職の朝日健太郎氏とタレントで新人の生稲晃子氏を擁立。
支持率40%超えの自民党は、普通に考えれば、二人とも楽勝で勝てるはずである。
しかし、朝日氏は実績が分かりづらいという声が大きい。また、元おニャン子クラブの生稲氏は東京選挙区は有名人が乱立している状態のため、有名だからと簡単に勝てそうにないのである。情勢調査によると、朝日が現在1位ということだが、業界人の見立てでは、朝日氏がリードとか生稲氏がリードとか、報道機関によって結果にばらつきがあり、どっちも安全圏内なのか、票割に失敗して片方は落ちるのではないか、下手すれば共倒れのため一本化を検討するのかなど、色々言われている。
岸田政権は、経済界と若者には不人気だが、高齢者には圧倒的な支持を受けている。良くも悪くも、日本の現状を守っているからである。日本を変えたくない守りたい高齢者の声を確実にかき集め、朝日氏は目上の人に対する低姿勢さを、生稲氏は高齢層向けのアイドルとして活動することで、高支持率を活かせるだろう。様々加味して考えた上でも、やはり二人とも当選して当たり前だといえる。


【立憲民主党】(2位優勢、8位接戦)
現職の蓮舫氏と新人の松尾あきひろ氏を擁立。
前回の蓮舫氏は112万票のトップ当選だった。今回も上位当選は手堅いと言われてきたが、山本氏、乙武氏の参戦によって、かなり票を削られ、また、立憲民主党の支持率が過去最低まで落ち込んでいるため、決して楽ではない。それでも蓮舫氏は当選圏内だと思われるが、松尾氏の場合は現段階では少し厳しい。ただ5~10位はほぼ団子状態であり、周囲が予測しているよりも善戦しており、むしろ地域によっては蓮舫氏よりもポスター数が多い。
立憲が勢力を減退した理由は様々考えられるが、「何をしたいかが分からない」が一番大きいだろう。批判型イメージの脱却を図りつつ、提案型政党への移行を試みているが、何を基軸に提案しているのか、その軸が見えないのである。ただ、蓮舫氏の場合、政策を提案するキャラとしては全く確立されておらず、時流に合わせた鋭い批判を武器とするキャラである。自民党衆議院議長細田氏のスキャンダルを皮切りに、蓮舫氏はそのまま切り込み隊長をした方が良いと思われる。ポジションの獲得の仕方としては、今回だけに限って言えば、左派系野党の唯一の有力女性ということを前面に押し出せば良いだろう。
松尾氏に関しては、「左派の中では、一般人からすると話が通じる」という穏健左派のポジションを確立することが大事だろう。ウクライナ危機の影響で世の中全体が右傾化しているため、あまり左側により過ぎない方が良い。山本氏や山添氏のような真性の左派に入れるのは怖い、でも自民にも維新のようなおもいっきり右に行くのも怖いというニーズを的確につかむ必要がある。


【日本共産党】(3位優勢)
現職の山添拓氏を擁立。
東京選挙区は近年まれにみる乱戦状態である。無党派の票は、多くの選択肢に分散する可能性がある。こうなってくると、共産党員が沢山いる共産党はがぜん有利になる。共産党員は、よほどのことがない限り、共産党に票を入れるためだ。前回の衆議院選比例東京ブロックの得票数は67万票であり、そこまで大きく変わらないことが見込まれるため、充分に当選圏内だと思われる。
また、山本太郎氏の登場によって、若干、票が食われるだろうが、左派勢力の中で票数が均一化して、共産党が頭一つ抜けるのは難しくないだろう。


【公明党】(4位優勢)
現職の竹谷とし子氏を擁立。
東京選挙区は近年まれにみる乱戦状態である。無党派の票は、多くの選択肢に分散する可能性がある。こうなってくると、創価学会という岩板支持母体のある公明党はがぜん有利になる。ほとんどの創価学会の方々は、他の選択肢があろうとなかろうと、問答無用で公明党に投票するからだ。
いつものように戦えば、上位当選かは微妙だが、当選自体は普通にするだろう。しいて言えば、今回は投票の選択肢がバラエティに富むため、F票(学会員がお友達に依頼して入れてもらった票)の積み上げには苦労するかもしれない。



【日本維新の会】(6位接戦)
大阪市議で新人のえびさわ由紀氏を擁立。
衆議院選で勢力拡大に成功した国政政党・日本維新の会だが、相次ぐ不祥事により支持率が下がりつつある。また言論について、党創設者の橋下氏と鈴木宗男参議の発言が親露的に聞こえると極右系の言論人から袋叩きにあっている。さらにはSNS上でもお構いなく、足立代議士を中心に同党の議員同士で公開討論をし、自党の政策の矛盾を明るみにしているため、多数の左派メディア、立憲・れいわ・米山代議士、減税系クラスタから狙い撃ちにされまくっている。無理な話ではあるだろうが客観的にみて、この3人を羽交い絞めにすることが、一番維新の勝率を高めるだろうと思われる。
ただ、意外にも「東京維新の会」の士気自体はさほど悪くはない。記者会見の話から推察するに、経歴・思想・人格などで担ぎやすい人を擁立したためだ。数年前までは、思想よりも知名度を優先しようとし、迷走した。その反省が生きているのだと思われる。
東京選挙区においては多数の有力候補がライバルとなり、知名度が圧倒的に低いえびさわ氏にとっては、非常に苦しい戦いが強いられる。さらに東京では、維新の固定支持層が皆無であり、無党派頼みだ。新党を含めた他党はその無党派票を狙おうと、右からも左からも袋叩きにしてくるだろう。細かい因縁をつけられるのは諦め、クリティカルなミスをせず、地道に圧倒的な活動量でねじ伏せることが肝心だ。


【れいわ新選組】(7位接戦)
党首の山本太郎氏を擁立。
れいわはよだかれん氏を東京選挙区に擁立していたが、多くの選挙クラスタの予測どおり、差し替えを行った。政党支持率を考慮すると、れいわは選挙区において東京以外で勝てる場所がない。確実に1議席でも多くもぎ取るには、「東京-山本太郎」の組み合わせ以外の選択肢がなかったのである。山本氏の出馬する候補地として、他に神奈川や兵庫も挙げられていたが、東京はその2つには無いメリットがある。①東京選挙区はマスコミの注目を集めやすい、②ボランティアが全国から集まりやすい、③交通の要所であるため、山本氏が他の地域に応援に行きやすい、④人口が日本一多いため、比例票を獲得しやすい。
前回は66万票を獲得したため、当選も可能とされているが、党代表であるため、応援演説で東京にずっとしがみつく訳にもいかない。また、当時は蓮舫氏の出る選挙と鉢合わせになっていなかったときの数字だ。さらにマイノリティ属性のタレント乙武氏まで登場し、今回は票を食い合うと予測される。案外、情勢は厳しいのである。属性被りを回避するためにも他の野党に遠慮せず、野党の中でれいわが一番であることを適度に訴えないと、意外と勝てないかもしれない。



【ファーストの会(国民民主党)】(9位接戦)
都民ファーストの会党首の荒木ちはる氏を擁立。
ファーストの会公認、国民民主党推薦の座組。国民民主党としては東京に地方議員が少なく、ファーストの会としては国政に足がかりがないという双方の弱点を補い合っている。また、この組み合わせは連合が推しやすい党同士の組み合わせでもある。
ファーストの会の勢力を考える上でヒントになるのは、5月の中野区議補選である。5名が立候補し、都民ファーストの会候補者は3位に沈んだ。荒木氏の地元であったにも関わらずだ。都民ファーストの会は現在都議会第2党ではあるが、参議院選東京選挙区は決して有利な状況とは言えないのである。
ただ、現段階の順位は9位ではあるものの、絶望するのはまだ早い。現段階で投票先未定者は都民の6割なのだ。前回の都議選では、終盤にブーストがかかり、それまでの情勢調査で落選と思われた候補者が何人も当選に滑り込んだ。女性に人気の高い小池都知事が応援に入ることで、終盤にどこまで女性票をかき集めるかが勝負となる。ある意味で一番伸びしろがあると言っても過言ではない。


 

【乙武洋匡(無所属)】(10位接戦)
障害を持ち『五体不満足』という著書で有名な言論人。
一部の政治に関心の強い人ならば、「元自民候補予定者、思想は維新若手に近いのにも関わらず、前衆議院選では公明候補者にシンパシーを感じる」など保守系とみなす存在。しかし、あまり深く政治に関心のない無党派の感覚でいえば、障害者属性かつタレント属性であり、「LGBTや障害者などへのマイノリティ政策」を声高に主張するため、むしろ左派政党の票や生稲晃子氏などのタレント票をごっそり削ると思われる。一部の分析者は、以前の参議院選に出馬した無所属よこくめ勝仁と同じような扱いとして30万票ぐらい獲得すると見込む人もいるが、30代以上のすべての世代で認知率85%と驚異の存在であり、よこくめ氏より上手だろう。現在僅差で10位となっているが、風が吹けば上位当選もあり得るポテンシャルをもっている。
6年前のスキャンダルによって、女性票の獲得に苦労するだろうが、お詫び行脚をして信頼を取り戻しつつ、インフルエンサーとのコラボを強化して、空中戦に持っていくのが良いだろう。無所属の地方議員をうまく味方につければ、選対チームもかなり強固になると思われる。かつて流行ったテレビ番組「愛は地球を救う」のような空気感をいかに東京中に作り出すかが鍵だ。



【社会民主党】(11位)
幹事長の服部良一氏を擁立。
立憲に大量の議員を取られてしまい、風前の灯火となっている政党である。前回の衆議院選比例東京ブロックの得票数は9万票であり、そこから抜本的な変化はないため、次の得票数は多くても10万前後だろう。つまるところ、最初から選挙区での勝利を目指しておらず、比例票の掘り起こしを兼ねつつ、一定の得票数を稼ぐことで社民党の政党要件を維持することを目標としている。



【NHK党】
NHK党は最初から、選挙区での当選を狙っていないことをはっきり名言しており、比例票の掘り起こしと、政党要件を満たすための票集めを目的として、複数名の擁立を目指す。既に6人エントリーしているが、6人出馬させるならば、「NHKのスクランブル放送化」を訴えるをベースとして、ニッチな問題に特化して、そこで確実に票を得るようにしたい。
個人的には、さらに他党の同姓同名の候補者を擁立し、案分票という形で奪うのが良いだろう。例えば「山本太郎」は見つかりやすいと党首立花氏は豪語しており、すでに比例で擁立するとしているが、別途もう一人東京選挙区で山本太郎氏を擁立するのが良いかもしれない。もちろん、按分されてしまうため、以前の衆院静岡4区補欠選挙同様、微々たるものだろうが、一種の票田にはなるだろう。いずれにせよ、いかに選挙をハックし、有権者を笑わせ、話題を作るかが大事だ。


【参政党・新党くにもり・日本第一党・幸福実現党】
極右の立場から、自民党ですら左側と批判する新興諸派の政党。右傾の諸派政党が増えているので、まずはそれらと差別化が必須。
この中でも頭一つ抜けているのが、参政党である。ネット界隈では一部ムーブメントを起こしており、集会の集客力も非常に強く、右寄りのれいわ新選組状態となりつつある。前回の参議院選で、れいわ(振り切った極左は極右にもなる)・維新・自民・NHK・日本一あたりに投票した人の一部を取り込むと考えられる。ただ、5/29時点で、東京選挙区の候補者名が挙がってきていない。
新党くにもりは、自民党から抜け出した人を中心とした新党だ。あんどう裕氏を擁立する。「改革・既得権打破・グローバル化を叫ぶ保守政党(維新や自民菅派だと思われる)」をライバル視し、かなり右側の拡大を目指す。既にうちにはこの春2回ポスティングがされており、小規模ながらも現実的な選挙を展開するだろう。
日本第一党は、保守かつ減税など訴える政党だ。菅原みゆき氏を擁立する。コアな支持層がネットには多かったが、今年になってからは、参政党にお株を奪われつつある。実は街宣活動も結構やっている。
幸福実現党は中国を目の敵にする、宗教系保守政党である。前回の参議院選や都知事選では七海ひろこ氏を擁立し、熱狂的な紳士が彼女の下へはせ参じたが、今回の彼女は千葉で立候補し、代わりに及川幸久氏が東京で挑戦する。昨年の衆議院選では、党として不戦敗をしてしまったが、今回はどこまで雪辱を果たすのだろうか。