映画『ジョーカー』がブームとなっております。女性に対してモテない「インセル」がアメリカで事件を起こしているのも時折ニュースになります。そして、数年前から「キモくて金のないおっさん」というパワーワードのが福祉領域のインフルエンサー界隈で流行しています。

上記の現象がここ最近目立ち始めているということでは、うだつの上がらず、やり場の無い怒りを抱えている男性たちの限界が見えてきたように思われます。「キモくて金のないおっさん」の定義は曖昧ではありますが、ざっくり言えば「人間的魅力がなく貧乏な中年男性」という感じです。この属性の方々は、まごうことなき弱者ではあるのですが、これまで彼らを救おうとするムーブメントが中々起きませんでした。

man-2916071_640


一般的にこのパワーワードに付属するイメージの言葉は
非正規労働者、フリーター、氷河期、貧乏、汚部屋、安アパート、ホームレス、不潔、臭い、汚い

これを婚活市場に当てはめてみると、どれほど危機的な存在かがよく分かるかと思います。
一般的に男性への社会的評価基準というのは、金を稼げるか否の尺度が非常に大きいものとなっています。実際、婚活市場においては、男性は相手の年収を気にしないことは多いのですが、女性は最低でも年収400万円は求めます。400万円未満の人は、見た目に魅力があるか、プロフィールを盛るかをしないと婚活市場では検索対象にならない、つまり人間の中身すら見てもらえないことが多いでしょう。

例えば、日本の30歳男性の年収中央値は340万円~390万円です。残念ながら、30歳のほとんどの男性は女性から見れば魅力がないのです。日本では草食系男子が増えたと言いますが、400万円というボーダーラインに満たしていないと負け戦だと理解している訳であって、女性にとっての上昇婚信仰が流布されている限り、婚活市場に参加しないというのは英断だと思われます。まあ、それぐらい男性にとって、愛を手に入れるというのは金銭的にシビアな問題なのです。一方で非正規労働者の場合、非正規雇用の年収中央値は、150~160万円程度。婚活市場において、見向きもされない年収となります。

※年収に関する情報のソース:https://career-picks.com/average-salary/nenshu-chuochi/
(本当はもっと公的な統計を使うべきでしょうが、体感値的にそう的外れではないでしょう)


さて、上記のとおり、悲しいかな愛はある程度までお金で買えるのですが、世の中にはお金が無くても愛を手に入れられる男性はいる訳です。愛される術を知っている男性のことですね。大まかに言えば、見た目の良さ、性格の良さを基軸とした術となります。そして、どちらも無ければキモいということになります。見た目の良さに関しては、体形と体形に合った服、汗と体臭と口臭、毛(頭髪、眉毛、鼻毛、髭)の処理をすれば最低限レベルまでは何とかなります。よく言われる清潔感というヤツですね。
ちゃんとしようとすると金はかかります。貧乏人にとってはユニクロだって勇気のいる買い物ですから。とはいえ言い方を変えれば、体形以外について、ユニクロで奮発すれば、見た目は即席で最低限を突破することはできるので、意外と希望はここにあったりします。

愛される術について、本当に問題なのはむしろ中身だといえるでしょう。愛される術を知らないということは、社会性が不足している、共感力が足りない、愛してくれる人への接し方が分からない、双方向のコミュニケーションが取れない、非合理なことに対して無駄に頑固、学習性無力感、過剰なネガティブ思考、自己肯定感の欠如、世の中の仕組みに対する知識が著しく欠如しているなど様々な要素が組み合わさっています。本人の資質や努力の問題も大きいのですが、育った環境にも大いに影響されます。愛される術を知らない人とのコミュニケーションは、大いにストレスです。これは交流活動をする上で大きな障害となるでしょう。


婚活市場でキモくて金のないおっさんがやってきたときは、理想の相手と恵まれず、すごすご退場するだけとなり「0が0に戻る」だけで済みますが(自尊心がかなり削られるから程度が軽いという訳でもないけど)、これが婚活市場ではなく、生きているこの世界そのもの・世の中だったらどうでしょうか?世の中から退場しますかという話です。

金がない人には、資本主義経済は、サービスを提供しようとはしません。外見に魅力が無い人には、好奇心で手助けしようと思う人は少なくなります。外見を見た目では無く属性と捉えた場合、例えば、海外で恵まれない子どもを助ける活動の場合は社会的評価に繋がるメリットがあり、フェミニストを擁護する男性の場合は女性に味方することで女性とお近づきになりあわよくばセックスなどという目論みだってあるでしょう、子どもを支援する活動なんかはSNS映えして自尊心が高まります。でも、キモくて金のないおっさんを助けたところで恩恵やメリットは何もありません。

愛される術を知らない人には、それらのメリットなし条件を無視して救いの手を差し伸べたとしても、その手を払いのけようとすることでしょう。一律の公的福祉も彼らには届かないし、届いたとしても拒否をしますし、そもそも愛嬌がないので助ける側のモチベーションを減退させます。



だからといって、彼らを助けないという選択肢は良いものではありません。
政治的に言えば、放っておくと、米国でのインセルような暴動に繋がる可能性があるため。

社会的に言えば、人生には盤石などありえず、明日は我が身であり、何かを踏みはずした拍子に貴方も私も簡単に、キモくて金のない状態になりかねないということ。これからの大不況時代、リストラや廃業など誰にでも起こり得ます。

人間的に言えば、彼らだって救われるべき魂の持ち主であり、ましてや、貴方の半径10キロメートル以内には沢山いる隣人であるということ。