昨今話題になっていることのひとつに、東京オリンピックのボランティア問題があります。
大体争点になっているのは、次のポイントです。

・猛暑地獄の中、活動するということ。
・数日間に渡って、活動しなければいけないということ。
・営利活動の枠組みの中である筈なのに、無報酬であるということ。
・一般ボランティアは無報酬なのに、大会の役員は非常に高額な報酬を貰っていること。

非常にブラック労働臭が漂います。まさに搾取の典型です。全く持って酷い話です。それにボランティア活動日における年金、健康保険、家賃等の支払いを考えれば、ボランティアに関わると働く日の機会損失になるので、交通費や宿泊費の心配のない東京の地元民でさえ、赤字になります。

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では、これらの4つの条件が改善された場合を考えてみましょう。

・空調の利いた空間で活動できる。
・好きなタイミングで活動できる。
・全員にしかるべき対価を支払う
(orオリンピック関わる人全員無報酬)

仮に対価を払うという形で上記3つを満たしたとしたならば、それはもはやホワイト企業の日雇い労働みたいな感じでしょうか。そうすると、副業を禁止しているほとんどの会社には縁がなくなる話となります。あと財源の問題がさらに深刻化するでしょう。

逆に全員無報酬の場合、どこまでが無報酬の対象なのか議論が分かれるところです。競技場の工事のために資材を輸入する会社の人たちも無報酬なのか、関係者の人たちが泊まるホテルや交通機関への支払いもゼロでいいのか。

上記の仮説は、数ある中の一部です。「副業問題は副業解禁の風潮を強める」など、個々の問題についてやる気があれば改善できるものもあることでしょう。


さて、今回の記事で私が一番問いたいのは「仮にボランティアの待遇改善がされたとして、貴方は参加するのか?」ということです。私の感覚からすれば、ブラックボランティアだと批判する人達の9割以上は、参加しないのではないでしょうか?

だって、自分の生活のペースを乱されるじゃないですか。日々の生活で疲れているじゃないですか。何よりも面倒くさいじゃないですか。

では何故、批判するのか。言葉を選ばずに言うなれば、ムカつくからです。自分には無い才能を持つ人たちが輝く舞台が眩しい。訪日外国人が来るからといって自分の懐が増えるチャンスがなくて妬ましい。オリンピックに限らずともお祭りではしゃいでいるヤツにただただ虫唾が走る。オリンピックがぽしゃって、オロオロしている偉そうな人達の顔が見たい。あとは「ブラック労働を叩く」という炎上に何となく便乗して、といったところでしょう。

中にはピュアに正義感に駆られている人もいるかもしれませんが、多かれ少なかれ上記のど薄黒い感情が入り混じっている人がほとんどでしょう。私ですら、伝統を断絶させてしまって偉そう人たちがオロオロするところを見てみたいと思う程ですから。


そういった感情の存在は認めるとして、もう一つ。本当にオリンピックに興味があってボランティアに志願する人たちに「騙されて可哀そうに」とか「学校の単位や就活アピールのためにやっている」とか思わないであげてほしいということです。なんだかんだ言っても、一生に一度でも目の前で見られるかどうか分からない盛大なお祭りなのですよ。しかも母語で、ホームの国で。見方にはよりますが、非常に価値のある経験になることでしょう。

”自分自身で価値を見出し、それが赤字であっても自ら行動する姿勢”というのは、賞賛に値します。

私も非営利団体の活動をしていますが、他人の視点からみれば価値がないことかもしれないけど、自分自身ではそれなりに価値を見出して活動しています。高額報酬を貰っているオリンピック実行委員の人たちに言われるとムカつきますが「ボランティアに価値を見出してもらう」というのは、被雇用者ではなく「ボランティア」を集めるには実は的外れな意見ではないのです。世の中の一部の界隈では、そういった志で動いている人も沢山いるのです。

とはいえ、条件を緩和してあげた方が、人は集まりやすいとは思いますがね。