Any sufficiently advanced technology is indistinguishable from magic. 
充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。
SF作家 アーサー・C・クラーク 代表作『2001年宇宙の旅』

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知人が最近、「VRパーク渋谷」を貸し切りにして遊ぶ企画を立てくれたので、それに便乗して遊んでみました。VRパークは、端的に言えばバーチャルリアリティ技術を駆使したゲーム機が並ぶテーマパークです。そのうちの幾つかのアトラクションの紹介と、トータルの感想をまとめました。なお、各ゲームアトラクションは、それぞれ全く違う特色があり、同じ人でも合うものと合わないものがあります。

【1】ジャングルバンジーVR

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バンジージャンプと書いていますが、上下にも動く空中ブランコで、ジャングルを移動するといった感じのアトラクションです。ジンバブエでビクトリアフォールズの滝にバンジーしてきた私にとっては全く怖くなく、むしろ面白かったので、思わず2周してしまう程でしたが、人によっては腰を抜かすらしいです。実際のところ、ただ座ってじっとしていれば良いだけなので、身体への負担は実は少ない部類のゲームです。

イメージとしては、TVゲーム・スーパードンキーコングの世界を主人公目線で飛び回っている感じと言えば良いでしょうか。



【2】カイジVR 絶望の鉄骨渡り

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ビルとビルの間に平均台のような一本の鉄骨があり、それを渡り切るゲーム。傍から見れば、楽勝に見えますが、マジでOKY!お前がここでやってみろ!VRゴーグルをつけた瞬間、そのヤバさに絶望します。ざわざわで御馴染みのカイジの世界観をモデルにしており、様々な心理トラップで翻弄されるのです。私は2回トライして、2回とも奈落の底に落ちました。一緒に行った人達の様子を見るにクリアできる人の方が少ないと思われます。

【3】ソロモン・カーペットVR

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魔法の絨毯を足場とし、魔法の杖を片手にして、中東風の世界でドラゴンを倒すシューティングRPGっぽいゲーム。独特の浮遊感と、意のままにファイアーボールを放てる中二病的気分を味わえます。ちなみにスコア制で、大抵の人はBランクです。まあ、魔術師の端くれの私はSランクでしたがね。面白くてこれも2回やりました。

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イメージとしては、丁度、次の動画の主人公視点で狙撃するような感じ。乗り物が馬じゃなくて絨毯になったみたいな。



【4】ICAROS(イカロス)

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イメージとしてはパラグライダーのような感じで、空間(水中?)を飛び回り、身体の体勢を変えることで、進む方向を操作します。空間の中にリングがあり、進行中にそれをくぐるノルマがあります。このゲームは、フィットネスも兼ねているとのことで、かなりの体力とバランス感覚が求められるようです。私は3回トライしましたが、最初のリングすら通り抜けらませんでした。




全体として思ったのは、まずは結構疲れるということ。単なるテレビゲームでも、風邪ひいているときにプレイすると疲労感が溜まる訳ですが、VRゲームは指先だけではなく、全身でプレイすることとなります。目を瞑らない限り、視覚はゲームが見せる世界そのものになるため、没入感が非常に強くなり、感情的な意味でも消耗は激しいでしょう。

他にも課題は幾つかあって例えば、身体性が問われるのに、ゴーグルによってリアル世界の自分の身体と環境がどうなっているか分からない為、スタッフのサポートが無いと結構危なっかしいです。データ容量が大きいためか、ゴーグルは有線でゲーム機器と繋がっているのですが、カイジVR等足を使うゲームのスタッフは、ケーブルが絡まらないように陰ながらサポートしていました。つまり、360度パノラマ世界が広がっているにも関わらず、いかに歩かせないかが現段階では課題のようです。映像技術だけのごり押しで世界を作る現状では、リアルとエンターテイメントの世界を完璧に切り離すことができないのです。今回のようなアミューズメント施設と違い、スタッフのつかない家庭用ゲーム機器なら尚更リアルに歩かせない工夫は必要になるでしょう。箪笥の角に足の小指をぶつけるのとか嫌ですから。

あとは、ペナルティの表現をどうするかという課題もあります。上記のとおり、ソロモンカーペットは凄く面白く、思うがままに(ボタンを押すだけで)、攻撃魔法が放てるのは快感でした。一方で、敵のドラゴンから火の息攻撃を受けたときは、あくまでも映像だけで、リアル身体にダメージを受けた感じはししませんでしたし、そういう仕様でもありません。まあ、ゲーム内での失敗がリアル身体にダメージを与えるのは、技術面以外でも様々な問題が考えられるため導入は慎重にすべきでしょう。

とはいえ、攻撃時のリアリティある快感と裏腹に、被ダメージ時におけるリアリティの薄さは、人格形成にどのような影響を与えるか興味深いものがあります。私はテレビゲームをやりまくって育ったので、「ゲームのやり過ぎによって、リアルとゲームの境目が分からなくなる」とは思わないのですが、VRゲームの場合は臨場感や没入感がこれまでのものとは大幅に違うのです。そのリアルさ故に、VRゲームで攻撃をする場合、ナイフとかバットなど身近な道具は禁止にして、魔法とかライトセイバーみたいな完全にフィクションを思わせるもので無ければならないような気がします。


ここまで、あえてネガティブに書いてみたのですが、裏を返せば、疲れるほど遊びまくったともいえるし、没入感が怖いと思ったのも、没入して充分楽しめたからだとも言えます。そして、課題があるということは、もっと手軽に面白くなる余地があるということです。

科学は発達すると本当に魔法のようです。ほろ酔いの中で見る渋谷の光景も、田舎出身の私から見れば、魔法の世界のような光景なのですけどもね。

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