最近、SNS上で「夫婦同姓-別姓を選べる社会にするため-私たちの訴訟を応援してください」という企画への賛同を促すリンクが多数シェアされています。個人的には、夫婦別姓問題そのものは、直接的に差し迫った問題ではないので、どっちでも良いと思う派ですが、正直なところ、声を高らかに掲げて協賛したいとも思えないとも薄々思っております。



釈然としない理由としては、結婚って、家と家との関係性がベースであり、どちらか片方が相手の家に帰属することを原則としているにも関わらず、なんでそれを嫌がるの?ということです。それって結婚の意味が無いじゃないですか。相手の家に帰属するのが嫌で、でも一緒に好きなパートナーと過ごしたいのであれば、同棲、すなわち事実婚でいいじゃんという論法になる訳です。あとはまあ、子どもができたとき、苗字の選択をどうするの?という問題が出てくることでしょうな。

まぁ、慣れ親しんだ苗字から離別するのに抵抗があるというのは、同情はできるので、必ずしも反対派という訳でも無いのですがね。

そんな訳で、結婚とは何ぞやと、そのメリットを整理することにしました。

【1】相続

法的に一番のメリットは、財産の相続でしょう。パートナーが亡くなったときは、パートナーの財産の半分の相続の権利が与えられます。婚姻届を出した直後に不幸な事故があってパートナーが亡くなった場合は、その権利は適用されますし、離婚届を出した直後にパートナーが亡くなった場合は、相続の権利がありません。そのために、わざわざ、役所は婚姻届・離婚届の受付だけは休日夜間だけでも受け付けているのです。

【2】不倫の拘束

重婚禁止・一夫一妻制を採用している日本国においては、結婚している男女が、パートナー以外とセックスをすることは不貞行為だとされています。結婚は大抵の場合、貴方と以外セックスをしませんという一生の誓約を意味しています。お互いをお互いが拘束しているということですね。

実は、これによって一番の恩恵を受けるのは、周囲の独身者です。恋愛至上主義の現代社会において、一般的には魅力の高い人から順に結婚していきます。魅力の高い人にいつまでも恋愛市場にいられると、魅力の低い人はいつまでも結婚できませんし、酷い場合には、市場に出回っている魅力の高い異性を求めて、争いにまで発展するでしょう。魅力の高い人は、社会秩序の維持のためにも、さっさと結婚して、恋愛市場からご勇退して頂くのが一番なのです。

【3】控除や税金対策

一般的によく知られているのは配偶者控除、配偶者特別控除です。2018年より改正がありますが、収入が一定金額以下の場合、控除を受けられます。

また自営業者ですと、「青色専従者給与」という制度を使うことによって、同一生計の配偶者などに支払った給与を経費とすることができるようになります。例えば、年収900万円のフリーランサーがいて、外に働きに出ていない配偶者に事務作業代として100万円給料を支払ったとしましょう。フリーランサーの所得は年収800万円となり、さらに配偶者は給料所得の控除65万円などが適用されますので、夫婦トータルで見ると合計で100万円近く節税できることになります。給料を払うことで税率を押し下げて、更に経費を積み増せるということで、自営業者にとって納税は夫婦二人で分割すると滅茶お得なのです。

【4】一緒に義務を乗り越える

夫婦になると、子どもを作りたいと考えるカップルも少なくありません。子どもに教育を受けさせるなど「未成年の子の監護義務」を一緒に乗り越えるというのがメリットとなるでしょう。他にも、義務と言うと、【2】でご紹介した「貞操義務」や一方にとっては玉の輿とも言える「扶助義務」も存在します。

【5】国籍の変更

外国人と結婚する場合、双方の国籍について考える機会もあるでしょう。大抵の場合ですと、結婚しただけでは自分の国籍も、相手の国籍も変わることはありません。ただ、日本人女性が、アフガニスタン、イラン、エチオピア、サウジアラビア、ヨルダン、ジンバブエの男性と結婚する場合には、相手の国の法律に従うとなると、相手の国の国籍に変更することを余儀なくされます。

また異国のパートナーが日本人に帰化することを望む場合は、「3年以上日本に住所・居所を有し、かつ、現に日本に住所を有すること。または、婚姻の日から3年を経過し、かつ、1年以上日本に住所を有する者」という条件で下で帰化できます。帰化することにより、参政権の付与、公務員への就業に門戸が開かれる、社会保障を受けられる、日本人としてのパスポートを取得できるなど、日本で生活する上でのメリットがあります。

【6】精神的な面、社会的な責任

男からすると守るものがあると強くなるという信仰があります。それによって、社会的体裁を保つことができるとされています。

ただ、今の若い世代において、責任だの家だのということについてはそれほど重視しているかといえば必ずしもそうではなく、一番実感しやすいメリットとしては、既婚者達からの「まだ結婚していないの?」という冷ややかな目線を回避することにあるでしょう。もしくは、遊び仲間が減る、遊んでも結婚生活の話題についていけないなど、同世代のライフステージの変化に取り残されて、焦っているというところは決して少なくない筈です。

【7】身内が増える

今でこそ、結婚はパートナーとの一対一の関係が強く意識されていますが、昔であれば、片方が相手の家に入る、一族同士繋がることを意味していました。「政略結婚」という言葉の存在に象徴されるように、結婚は単なる恋愛のゴールではなかったのです。身内が増えるということで、一族の誰かの利益になることもあれば、面倒ごとが増えるということもあります。一長一短はありますが、体裁からすると身内というか味方が増えるというのは、悪い話では無いのかもしれません。

核家族化、個の時代が叫ばれて久しく、そういった意識は大分廃れてきましたが、親戚付き合いを完全に遮断するのは難しいものがあります。逆に完璧に遮断しまくるのであれば、そういった姿勢は子どもにも引き継がれていくかもしれません。よく、「孤独死は嫌だ、家族に看取られて死にたい、だから結婚したい」という人はいますが、親戚付き合いを断っている人はその願望の実現は難しいのではないでしょうか?


say-goodbye-2890801_640


ところで私個人の主観的な話でもしましょう。結婚したい理由についてよく語られる、「家に帰ってきたとき温かいご飯がある」ということについて、高校卒業以降一人暮らしをしていた自分にとっては特に何とも思わないですし、守るものが欲しいとかってマゾでは無いかとすら思います。しかし、私は結婚願望があるか無いかと言えば、あります。人生という名の虚空の旅に伴侶があっても良いのでは無いかと思うことがあるためです。

中学、高校、大学、新卒入社の会社、自営業、今の会社と、私は色々なコミュニティを渡り歩いてきました。中学の友達とやらは成人式およびその後の飲み会で話したのを最後に、面と向かって会話をしたことがありません。高校時代の友人とやらも、ここ3年間においては10人も会っていないと思います。新卒で入った会社の人とも、退職後に言葉をやり取りしたのは、電話越しに1回とSNSで1回だけです。別にライフステージを進めると人間関係をリセットする主義という訳では無いですが、これは別に私だけに限らず、どんな人間でも、普通に過ごしていると疎遠になっていく人は沢山いることでしょう。そんな虚空の旅の人生だからこそ、一人ぐらいは互いに生き様を見届けあう人がいても良いと思うのです。