Shogi_Koma_Ryoko


突然ですが、私はヤマタノオロチという怪物に奇妙な感情を覚えます。ヤマタノオロチというのは古事記に出てくる、怪物です。古事記の内容をざっくり要約するとこんな感じです。↓



スサノオノミコト(須佐之男命)が川の上流に向かって歩いていると、美しい娘を間に老夫婦が泣いていた。夫婦の娘は8人いたが、年に一度、ヤマタノオロチ(八俣遠呂智)という8つの頭と8本の尾を持った巨大な怪物がやって来て娘を食べてしまうという。今年もヤマタノオロチの来る時期が近付き、いよいよ最後に残った末娘も食べられてしまうとのこと。スサノオノミコトは、末娘との結婚を条件に、ヤマタノオロチ退治を請け負った。スサノオノミコトは、女装してヤマタノオロチを油断させ、さらには酒樽を用意して酒に酔わせた。ヤマタノオロチが酔って寝てしまうと、スサノオノミコトは十拳剣で切り刻んだ 。
 

何故、奇妙な感情を抱いたかというと、ヤマタノオロチは7人の娘を食し、彼女らを血肉にして生きているのですよね。つまり、 おぞましいヤマタノオロチの身体は、7人の娘でできています。ふむ。これは新たなフェチの誕生か?いや、ここで言いたいのは、皮肉にも、7人の娘は敵対するヤマタノオロチの生を助長していることになるのです。

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このことから得られる教訓というのは、弱肉強食の世界において、被害者、弱者、敗北者というのは、その存在そのものが強者の糧になってしまうということ。負けるということは、生き残った仲間の生を脅かすのと同義なのです。

例えば、将棋ですと、相手に取られた駒は、相手の駒として自分に歯向かってきます。RPGで主人公に負けたモンスターは、経験値となり替わり主人公を強化してしまいます。悪徳ビジネスでは、カモが搾り取られたお金によって運営が継続され、同じ手口を続けようとするモチベーションも維持されることでしょう。

言い換えると、明確な敵と味方がいる状況においては、簡単に負けてはいけないということ。状況が不利であるのならば、せめて、餌食にならないように全力で逃げ切ることが大事です。もし貴方が被害者という立場になった場合は、悲しみの中で安穏とせず、一刻も早く敵の胃袋から出なければいけません。そうしなければ、貴方は敵の血肉となり、かつての仲間を脅威にさらす加害者陣営になるのです。

逆に言うと、被害者がいなければ。獲物を取れなくなった肉食動物同様に、加害者が存在できなくなるということ。そういった意味では弱者を弱者のままでいさせないというのは、社会全体に対する正義に通じるものがあるのでしょう。正義のヒーローが能動的に悪を倒す必要はありません。