西アジアやシルクロードの文化は調べてみると面白いです。イスラームと仏教が交錯するそれらの土地では、壁画や布地に描かれている柄が非常に独特なのです。

イスラームの特徴のひとつは、偶像崇拝が禁止されているということ。つまり、神様(イスラームだとアッラー)の絵を描いてはいけないということです。それが派生して、イスラーム教の開祖(ムハンマド)の絵を描いてはいけないし、人間の絵も原則的に描かないようになりました。その代わりに発展したのは、アラベスクと言われる幾何学模様です。数学が発達したイスラーム世界だけあって、非常に複雑かつ緻密で、見る者を知的興奮へと誘います。

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他に特徴的なものというと、植物の柄です。植物ともなると偶像崇拝の対象からは外れるのです。植物を複雑に組み合わせ、それを周期的に並べることにより、幾何学模様を彷彿させます。特にシルクロードでは、葡萄が沢山取れることから葡萄の柄が特に美しく表現されています。

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しかし、仏教とイスラームが交わるポイントなので、仏教的側面も否めません。仏教では、仏像が乱立しているとおり、偶像崇拝信仰が盛んです。そのため、人が絵に描かれることには抵抗のない文化圏でした。そんなわけで、イスラームと仏教の文化が複雑に融合すると、「人の絵も描かれているアラベスク」というものも存在しうる訳です。そういった類のものが西アジアの細密画(ミニアチュール)というものなのです。

西アジア細密画展

実は、私が毎週火曜に出店している占いの館「福ふく」のすぐ上で、2016年11月15日(火)~11月20日(日)に「西アジア細密画展」というのが開かれています。偶然にも、私の大学時代の先輩もこの個展に出品していました。チュニジアに留学し、向こうの文化圏を熟知した人の細密画は中々見ごたえがあります。もしよろしければ、いらしてくださいな。とはいっても、私は火曜しか吉祥寺のお店にはいないので、絵を見来たついでに鑑定というわけにはいかないのですがね。

「井之頭画廊」
〒180-0003武蔵野市吉祥寺南町1-4-1井の頭ビル3F
「福ふく」は同ビル1F


なお、この個展で見ごたえがあるもののひとつは「ジン」に関する絵です。ジンはアラブ圏の怪物で、様々なファンタジーのキャラクターのモチーフにされています。ジンの有名どころでは、アラジンと魔法のランプの「ジーニー」、ファイナルファンタジーの「イフリート」、マギ シンドバッドの冒険 の各種「ジン」など。

人間に良い人悪い人がいるように、ジンにも人を助けるジンもいれば、人に害を与えるジンもいます。元は、イスラームが定着する前の土着信仰であり、一神教のイスラームが普及した後も、この土着信仰を排除できなかったため、イスラームがこれを取り入れた形で存在していました。

※本記事に掲載しているアラベスクの写真は、クリエイティブコモンズの写真です。「西アジア細密画展」の出展作品ではありません。