「The High Priestess(女教皇)」というタロットカードがあります。何冊本を読んでも、どのサイトを調べてもなのですが、女教皇は古代エジプトの女神イシスを象徴していると書いてあるのです。アレイスタークロウリーの名著『トートの書』でさえ、「このカードは、永遠の処女イシスの、最も精神的な姿を表わす」と書いています。でも、どう見たって、女教皇は同じく古代エジプトの女神ハトホルだと思いませんか?

ISIS_Hathor

女神ハトホルは月と音楽の女神です。一方、女神イシスは女王であり、権威の象徴である椅子がシンボルです。そして、女教皇は黄金の夜明け団の正当な解釈からすれば、月の影響下にあります。

そして、イシスはといえば、どちらかといえば、「The Empress(女帝)」と関係性があるでしょう。女帝は、地母神や金星と縁が深いカードとされています。そして、西洋オカルトでの一般的な地母神といえば、マリア、アフロディテ、ビーナス、イシュタル、フライヤなどが挙げられるでしょうが、中でもイシスは地母神として外せない存在です。

従って、女帝の方はイシスに任せ、女教皇・正位置の意味には、ハトホルの司る音楽とか、死者への慰めとか、病気の治癒といった意味を付与してもいいのではないでしょうか?

ちなみに、古代エジプト神話の戦いと殺戮、病気(死)の女神セクメトは、ハトホルの怒り狂ったときの姿だとされており、これが女教皇の逆位置の意味に相当するかもしれません。

アレイスタークロウリーのイシス説を無理に援護射撃するとしたら、イシス=ハトホル説が挙げられるでしょう。古代エジプトでは、統一された神話がありません。それぞれの町が独自の神様を信仰しており、独自の神話を持っています。そんな彼らが、戦争したり、一緒になったりすると、相手を自分の町に取り込むため、神話を融合させるのです。例えば、「あなたが拝んでいる女神さまはイシスという名前かもしれないけど、実はうちの女神さまであるハトホル様と同じだ」と。このような感じで、神様は次々合体していき、イシスとハトホルを同一視するのです。

そこまで、考えたうえで占い師たちが「女教皇=イシス説」を唱えていると信じたいです。とはいえ、「ハトホル」と検索するとパズドラやモンストなどゲームキャラクター名ばかりがヒットする昨今、多分、そこまで考えている占い師って、いないだろうな。