昨日8月1日の午前中、山手線が人身事故で止まりました。ちょうどその頃、私は新宿駅にいたのですが、学生や土曜日なのに会社員がパニックになり、ケータイで必死になって連絡している姿を多数見かけました。この原因はおそらく、新卒採用の変更にあります。

2016年4月入社向けの新卒採用について、2015年8月1日から、いよいよ本格的に採用活動が始まりました。経団連に関わる大手企業は、この日より一斉に面接を開始します。昨年までは、新卒採用の解禁日は4月1日だったのですが、「勉学の時間を確保するべし」と政府のお達しにより、8月1日に変更されたのです。

去年までは、下記のような選考スケジュールでした。

夏に大学3年生向けのインターンシップを行う。(稀に1、2年向けのものもある)
大学3年の12月ごろにリクナビ本格解禁。
年明けから各企業の説明会やセミナーが高頻度で開催。リクルーターで優秀な学生を囲う。
2~3月に外資・マスコミ・勢いのあるベンチャー企業が選考はじめ、場合によっては内々定をだす。
4月から大手企業が選考をはじめ、4月中旬から5月までに内々定をだす。
6月ごろから採用に自信のない企業が、あぶれている学生を選考し始める。
7月以降、既に内々定をもらっている学生は、内々定をもらった企業に応じて自尊心を持ち、人生を謳歌する。
9月帰国子女および リベンジマッチの学生対象に秋採用が本格化する。
10月内定式。学生は企業からの入社前研修や卒論に追われ始める。
それ以降、無い内定の学生と規定人数に達していない企業の採用活動がだらだら進む。

このリズムが崩れたことによって、 様々な弊害が発生しています。

【1】意識の高い学生の就職活動超長期化

大手企業を志す学生は、これまで大学4年の5月上旬までには、内々定を獲得し、就職活動を終えます。しかし、選考時期が遅れたことにより、就職活動は秋まで続きます。選考活動が後になったからといって、用意周到な国民性の日本人です。意識が高い学生だけでなく、普通の学生ですらも就活準備を始めるのを後伸ばしにはしませんので、その分純粋に就職活動期間は長くなります。

結果として、安心して勉学に励む時間はむしろ減るでしょう。この提案をした政府は頭が悪いとしか言いようがありません。また勢いのあるベンチャー企業などは経団連の規定とは関係なく、これまで通り、早い時期に選考活動を始めています。そのため、ベンチャーも大手も両方興味ある学生は、必然的に就職活動を長引かせることになるです。実際のところ、2015年春には少なくない学生が内々定を手にしています。

【2】リベンジマッチがしづらくなる

春採用で、内々定を手にできなかった学生、必要人数を採用できなかったり内定辞退が発生したりした企業は、秋にリベンジマッチをします。しかし、選考が後ろ倒しになった結果、秋採用という形のリベンジマッチが機能しづらくなっています。

特に内定辞退のダメージは大きくなるでしょう。例えば、早春に内々定を出しすベンチャー企業も、去年までは春の大手企業の採用状況の動向を伺い、辞退があった分を初夏以降に補欠採用していました。大手企業が内々定を出す時期がずれ込んだことにより、補欠採用活動する時期も狂わされるのです。就活生って、よほどいいベンチャー企業ではない限り、ベンチャーか大手なら普通、大手に行きますので、ベンチャー企業は戦々恐々なのですよ。

【3】夏休みが潰される

去年までの春の採用活動では、大学4年生は授業を欠席して、企業の選考に行っていました。そういった意味で確かに学業への弊害は存在しました。今年からは、選考時期が長期化したことも手伝い、授業も時々休むし、夏休みも日程が読めない状況に早変わりです。

詰まる所、大学4年の夏休みは旅行の計画が立てづらくなるという事でしょう。これにより、旅行業界はざっと見50万人ぐらいの潜在顧客を失ったことになります。またBtoB企業だと8月はお盆休みを取るところが珍しくありません。とはいえ、残念ながら、選考活動のため人事は休めません。大手企業の場合、リクルーターや一次面接の担当に選ばれた一般社員も休めなくなります。ついでに言えば人事業界のコンサルタントも、夏は諦めるしかなさそうです。


遅らせるのであれば、いっそのこと大学4年の冬(卒論提出後辺り)からスタートみたいに、大胆にやらなければ就活の長期化は直りませんよ。こんな中途半端な変更は誰も特しません。ちなみに私は初めて聞きましたが、Yahooトピックスでは、この夏の恐怖をオーガストブルーと呼んでいます。