青年海外協力隊に行っている私の友人の一人が途中離脱し、帰国しました。彼の行っていた国の現状は酷い有様でした。

・技術がほとんど発達せず、自国で物を生産するより、 他国から買った方が遥かに安い
・労働者の権利がとても強く、雇う場合は高い賃金が必要(そのため外資も寄り付かない)
・そんな環境下、お金を借りてまで成功したいという起業家が現れないため、金融が発達しない
・なまじ資源があるので、採掘権を他国に譲ることで国は資金を獲得している
・一般的な国民は年寄りに支払われる年金を家族でシェアすることで生きている 


年金という名のベーシックインカムの下、ある意味、国民が働く必要のない楽園ともいえる環境でしょう。しかし、いつか資源が暴落したり、枯渇したりした場合や人口ピラミッドが変化し年寄りが増加して年金が払えなくなったときには、この国は一気に衰退します。彼は最悪の未来と戦うため、青年海外協力隊のボランティアとして、この国の産業の発展に貢献しようとしました。しかし、周囲のあまりにも「働くこと」に関するモチベーションが低く、このまま支援活動を続けていても現地の為にならないと愛想を尽かせてしまったのです。

途上国


実際のところ、国内外を問わずボランティアというのは「緊急支援」と「底上げ」の要素に関わること以外、その国や地域の産業の発展の邪魔になります。

東日本大震災が起こった直後、多くのボランティアが現地に駆けつけました。マッサージ師や美容師、講師などのサービス業の方々も例外ではなく、現地で己の技術を無償提供し、感謝されました。とはいえ、それは現地の需要を食い漁る事にも繋がります。被災直後の一時対応ならまだしも、そのようなボランティアが居座り続けると、現地で復帰しようとした本業の方が仕事にならなくなり、いつまでたっても自立できなくなります。また、ボランティアをする側も、いくら好きでやっているからとはいえ、それなりに時間コストを割いてやっている訳なので、経済的にはLose-Loseといえるでしょう。

そのため今現在、東日本大震災で生き残っているボランティアは「現地の産業と競合にならない」という特性が求められています。例えば、とある教育系ボランティア団体の場合、現地の塾や家庭教師とバッティングしないようにするために、自習できる空間だけを子どもに提供し、空間を管理するという機能に留めているのです。



私の友人を途上国に送り込んだJICAは、現地の自立を促し切れていない現状はありますが、では何のために産業支援を行っているのでしょうか?答えはずばり、日本の為です。情けは人の為ならずと言ったものですが、日本がその国に対して支援を行っているという姿勢を示し、その国の国民に好感を覚えてもらうというのが一番の目的と言えるでしょう。

経済力が弱い国であったとしても、国連では国としての一票を持っています。日本に対する好感は、日本が支持する案の一票へと繋がるのです。また、何かしらの国際会議の演説では、なるだけ先に話すことで、世界の国々にインパクトを与えやすくなります。そしてその演説順ですが、基本的には申し込み順となっています。先進国の首相というのは多忙の為、スケジュール管理に苦労し、申し込みが遅くなりがちです。一方で途上国では、権力が集中していることもあり、トップのスケジュールは比較的調整しやすく、早期に申し込むことができます。ここで、支援をするされるの力関係が働く場合、演説順を融通してもらうことが可能になるのです。

そのような理由の為、日本を始め、多くの先進国が途上国に支援を惜しみません。税金を海外にばら撒いているという批判の声もありますが、それに見合う利を求めてやっているのにすぎないのです。中国が東南アジアやアフリカに恐ろしいほどの経済援助をしているのも、まさにその典型だといえるでしょう。


残念ながら、海外にボランティアに行ったとしても、団体の基盤がしっかりしていない限り、多くの人は結局自己満足で終わってしまいます。それならいっそのこと、日本のプロモーション活動の一員だと思って活動するのもありかもしれませんね。


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