昨今話題になっているイスラーム。彼らを正しく理解するには文化を知る必要があります。その文化を紐解くカギは、やはり言語です。今回はイスラームの言語アラビア語の特徴についてをまとめてみます。ついでにですが、私も昔、アラビア語を勉強しようとして挫折しました。何故、挫折したかも、少し書いておこうと思います。

【1】フスハー(公用語)とアーンミーヤ(方言)

アラビア語とは何かと言われれば、ずばり、アルクルアーン(コーラン・イスラム教の聖典)に書かれている言語です。原則的、ムスリムはコーランを諳んじなければならないので、アラビア語を理解できることになります。しかし、このアルクルアーンに書かれたアラビア語はフスハーと呼ばれる、公用語です。その一方で、フスハーは日常的には使われず、アーンミーヤと呼ばれる方言が各地で使われています。このアーンミーヤが違う人同士では意思疎通は困難です。

私は、エジプト旅行の際に多少最低限のエジプト方言を頭に叩き込んだのですが、その後、マグレブ方言のモロッコに行ったところ、エジプトで通じた言葉が通じませんでした。せいぜい通じたのはこんにちはに相当する共通の挨拶「アッサラーム・アレイクム」ぐらいです。私がアラビア語学習を辞めたのは、これがショックだからでした。


【2】母音が日本語より少ない

一昔前、アルカイダのテロのニュースが紙面を賑わせました。その主犯とされるオサマ・ビン・ラディン氏。でも、報道機関によっては、ウサマ・ビン・ラディンとも表記していました。実は、アラビア語では日本語より母音が少なく、「a・i・u」の三つしかありません。日本語のeをiに、oをuに置き換えて表現するしかなく、例えば、「Abe Shinzo」をアラビア語で表現すると「Abi Shinzu」となります。

英語で「スじゃないthだ」と怒られ慣れている自分としては、母音が少ないことに違和感を感じました。

『す』やない。『th』。




【3】辞書を引くのに1年かかる

アラビア語は、ミミズのような文字を使います。この文字は28種類ですが、さらに使用する場所によって、4つの形態に変化します。

ba

26文字で大文字小文字の2種類に分かれる英語のアルファベットよりかは、覚えるのが大変ですが、文字そのものなら慣れれば、膨大な文字数を誇る日本語の学習よりは楽かもしれません。しかし、もっと厄介なのは文法の活用です。


例えば、「書く」を意味する「kataba」という動詞があるとします。

「私が書いた」=「katabu」
「貴女達が書いた」=「katabtunna」

この時点でお分かりの通り、英語のように、主語を明確に書きません。その代り、主語の違いを動詞の活用によって表現します。この程度でしたら変わるのは文末だから、何とかなるでしょう。しかし、主語が一人か二人か三人か、また、男か女かなどにより、13の活用が存在します。そして、更に受動態、使役など別の文法も考慮したとき、文頭までもが変化してしまいます。

「私に書かれる」=「uktabu」
「貴女達に書かれる」=「tuktaba」

つまり、全ての文法を一通り、マスターしないと辞書を引く事すらできないのです。様々文法を習い、頭が整理できていない状態で、例文を見たとき、知らない単語が出るとその時点で発狂したくなります。私はそこで挫折しました。



以上、中々、知られざるアラビア語の世界でした。とはいえ、アラビア語は、実はなじみ深いものでもあるのですよ。例えば、「アルコール」「アルカリ」などはアラビア語から来ています。「アル」は英語の冠詞「the」に相当しているのです。少しでもかじってみると、意外と面白い言葉でしょう。